Between Kokoku and Advertising

広告とマーケティングの四方山話です

ブランドになった病気

2015年のカンヌ広告祭で、ALS Ice Bucket Challengeが2つのGoldを獲得した。世界のセレブと、ビジネス界の大物つまり金持ちたちが氷の入ったバケツを嬉嬉として被り、指名された人々がその輪に、これまた嬉嬉として加わる。このキャンペーンを観た時から、成功とすると思ったし、よくオーガナイズされていると思った。広告屋としては最高の栄誉だし、クライアントもうれしいだろう。しかし私はなにか苦いものを感じた。もう広告屋じゃなくなってしまったのだろう。Aという難病があっという間に世界に知れ渡る。お金も集まる。Aの関係者の皆さんおめでとう。やったね! そして世の中にはBという死に至る病気もまた存在する。誰にも知られていないし、研究のお金も集まらない。どうしたらいいのだろう。Bの関係者も広告代理店に電話すべきなのだろうか。静かに支援者を集めていく方法は他にないのだろうか。いいアイデアは残念ながら私にはない。でもブランドになった病気とならなかった病気がこの世の中にはある。ソーシャルネットワークに振り回されるのを楽しんでいるこの世の中には。