Between Kokoku and Advertising

広告とマーケティングの四方山話です

技術とコンテンツ作り両方やる

それが、広告屋だったのだけれどねえ。

技術というのは、新しい仕組みやテクノロジーを活用するということ。

コンテンツとはもちろん、他でやっていないことをすること。

その両方を作るのが広告屋の仕事だと今も思っている。

でも、web系は、技術だけのところが多い。たしかに、誰もができることではないけれど、それだけでは(本来)お金はとれない、と思っているかというと、そんなことはないよね。確かに、金になっているからニーズはあるのだ。でも、コンテンツまではやれていないよな、と思っているかどうかが大切だと思う。できなければ、仕方ないのだけれどさ。

シンクロでもブランドが重要とは

シンクロナイズドスイミングの元日本代表監督、井村雅代氏は、今年の大会で英国の臨時コーチを2ヶ月務めた。短期間ではできることが限られるので、闘う姿勢を説いて、練習でしごいたという。結果は8位入賞とチームは進歩した。上位進出は果たせなかったが、井村氏によれば「ランキングを覆すことは難しい。ジャッジの先入観もあるから、実力があっても得点は出ない。国のブランドが必要。めげないで、実績を積んでほしい」と語る。(2013/7/28朝日新聞朝刊より) 採点競技である以上、ジャッジの頭の中に築かれた、国のブランドのピラミッドを少しずつ上がっていかなければならない。

採点ミスだとか、不公平だとかを言い張るのではなく、「国のブランド」という視点で競技を語れることこそ、井村氏が世界で勝つためにはどうすべきかを知っている人だからだろう。

パナソニックがTBS月曜ドラマのCM独占をやめた

1956年4月からずっと一社提供だった枠を解放する。同社の発表によれば、B2Bへのシフトにより、CM枠を見直した結果だという。まだまだ負債も多いから、こうした見直しは当然だ。電通としては、他のメディアでもうければいいのだろうが、楽はできなくなってきたということ。

明解なブリーフィングなしの仕事、あるいはコロコロお題が変わる仕事って、何なのさ。

映像を作る仕事をいただいて、本日が4回目のプレゼンだった。

最初の話は、テーマが明解に決まっていて、限られた予算と時間の中で

制作してほしいとのことだった。ところが、毎回、違う事を言われている。

いっこうに前に進まない。少ない予算のことを伝えると怒りだす。

予算によってできることとできないことがあるのに。

今日は、作る必要あるのか、と言われた。そうですよね、と私も言いたかったが

代理店さんが一緒だったので言わなかった。でも、心は決まった。

その仕事を降りることにした。ただし、時間がないので、

新しい企画は代理店さんと一緒に考えようと思う。でも、もう客先へは行かない。

最初に正式なブリーフィングをしないで、あうんの呼吸というか、腹芸というか、

なんとなく合意を作り上げていくのは、私には時間の無駄に思える。

このような仕事のやり方は、もうやめようと思う。会社員じゃないのだから。

ただ、面倒ごとから逃げる言い訳にはしたくないから、

そうしたやり方とは反対方向へ、思い切り踏み出そうと思う。

計画的に、しっかりと。

優れた才能が必要な広告業界

テレビを時々観ると、たまにいいCMに出会う。

TOYOTAのCMで、武とキムタクが秀吉と信長の生まれ変わりとして登場する。

最新作では、ひょっこりひっょうたん島が出てきて驚いた。

あの人形には、懐かしいモチーフというだけではない、人間味がある。

人間世界の話と、おとぎ話の世界がつながっている感じがする。

それって、TOYOTAのCMと一緒というか、めざしている世界だと感じる。

このCMに明解なボトムラインはない。

よい「読後感」がある。気持ちがふっと前向きになる。

 

CMの短い時間の中に、ハードセリングのメッセージを詰め込んで

うまくいく商材もあるけれど、万能な作法ではない。

それよりも、感情の水面に、小さな波紋を立てることを考えた方が

心の奥まで響くのではないだろうか。余韻が続くのではないだろうか。

 

「わかっちゃいるさ」「クライアントの好みで」そういう声があるのは

よく知っている。私もそういうことを口にした事があるから。

でもね、ぐるっと回って、そもそも、CMって何をするためのもの?とか

それで、結局何を得られるの?って考えたら、

改めて、いいCMを作る才能はすばらしいと思う。

何が大切か、忘れなかったから。そのために説得をして回ったから。

スタッフが笑顔で、すくなくとも納得して、仕事できるように

努力をし続けたから。それだけが、いいCMを作る方法だからね。

 

そうしたことができる人が、いるんだよ、大勢ではないけれど。

その才能には敬意を表したい。がんばってほしい。

応援しています。

広告業界には先がないが広告業界で身につけたことは役に立つ

すごくざっくり言って、広告業界には先はないと思う。

従来のビジネスモデルのままでは、ということだ。

電通さんなどは、従来の広告ビジネスの代表的存在であるけれど、

資本力があるから新たな業界に参入したり、うまくいっている会社を買収したりと、

いろんな手が打てる。

コストダウン合戦によって下がり放しの利益メディア料金や制作費は、

再び上昇することはない。

一部のスタープレイヤー以外は、低い単価で広告制作をせざるを得ない。

けれど、広告業界で身につけたことは、いろいろと役に立つ。

クリエイティブディレクターの仕事を考えてみよう。

クライアントから、あるいは代理店の営業から、オリエンテーションを受ける。

ここですでに、課題の設定が正しいどうかを考えなくてはならない。

それから、企画のベースとなるコンセプトを作る。具体的な広告案と同時に

出来上がることもあるが、プリントでも、ムービーでも、webでもイベントでも

転がせるものでないとだめ。キャッチコピーになっている場合もあるし、

インターナルのアクティビティにも適用できるコンセプトワードの場合もある。

そして広告案を作り、それをプレゼンテーションし、実制作し、

調査によって、効果的だったかどうか確認して、うまくいかない時は対応策を

作り出す。うまくいって続編を作る場合もある。

いくつかのブロセスはスタッフとともに作業をするにしても、

判断が必要なことなどを中心に、これだけのことを一人でできる人って、

企業の中にどれだけいるだろう。

広告人よ、あなたの能力は、他の仕事にも応用できるよ、きっと。